聴診器
現在NHK総合で“ER 緊急救命室*1”というドラマが放映されています。
先週土曜日に放映された第177話「手紙」(THE LETTER)で、主人公の医師が亡くなった同僚医師の使っていた聴診器をたまたま発見し、これを形見として引き取るというシーンがあったのですが、その光景を観ていると「聴診器というのは、たしかに医師の象徴だよなあ」などととりとめのない考えが浮かんできました。
医師が聴診器を使用する場合、体内の音を聞き取るために患者を沈黙させねばなりません。聴診器は、医師を“患者の語りに現れる病”から遠ざけるとともに“物理的な症状”に近づける役割を持っています。
そんなわけで、聴診器は医師と患者の関係を如実に表していることから、高度に技術の発達した現在もなお“聴診器=医師の象徴”となっているんじゃないでしょうか。
ついでに“聴診器_象徴”でgoogle検索をかけてみたところ、2編のエッセイを見つけました。
我々医師の商売道具に聴診器というものがある。 そうそう、みなさんも御存知と思いますが、 お医者さんが首からえらそうにかけているあのなが〜いひもみたいな道具です。 あれを首からかけていると何となくお医者さんという感じがしますよね。 みなさんはあれで何が聞こえるのだろう、何がわかるのだろう、 と考えたことありませんか。 私も子供のころは大変興味がありました。 (中略) 結局、この疑問は私が医者になってはじめて解決しました。 聴診器を持っていると何となくえらそうに見えますし、 患者さんにとっても聴診器をあててもらわないと、 ちゃんと診察してもらってないような感じになるようです。(特に内科は) (お医者さんのサイト“ドクター吉本のホームページ*2”より抜粋)
首から聴診器をぶら下げている人は、免許を取って年数が浅い。 なぜならば、聴診器は医者の象徴だから。 やはり、見せびらかしたい願望がまだ強い。 経験年数がある医者は、聴診器を白衣のポケットに入れている。 首から、ぶら下げていては邪魔だから。 それと、患者への配慮だ。 聴診器は冷たいので、ポケットにいれて温める。 (看護師さんのブログ“レイのブログ*3”より抜粋)
なるほど医師にとっての聴診器は、やはり弁護士バッジのようなものなのですね。弁護士バッジも、その光り具合(メッキの剥げ具合)で経験を推測する向きもあるようですし、ヨソモノが気に留めないような微細な差異が業界内で意味を持つことがあるというのもよく似ている気がします。