乳児殺害容疑者、仮釈放中に犯行 更生施設抜け出す

http://www.asahi.com/national/update/0206/024.html

 愛知県三河地方の更生保護施設でしばらく寝泊まりし、保護観察官や民間ボランティアの保護司から就職の世話などの援助を受けていた。しかし、入所数日後、行方がわからなくなった。 
 安城市には2日に入り、廃車の中で寝て、寒さをしのいだと供述。事件現場のイトーヨーカドー安城店には当日に初めて入店した。

 一昨日のエントリーで
「犯人は取調べの中で職が見つからなかっただの、住居がなく廃車で寝泊りだのと、寝惚けたことを述べているようですが、そんなもの更生保護施設に入所すればいいだけの話です。」
と述べましたが、彼は仮釈放後に入所した更生保護施設をたった数日で抜け出し、廃車の中などで寝泊りを繰り返していたとのこと。

 就職の斡旋や生活訓練などを受ける機会を自ら放棄しておきながら、「職が見つからずむしゃくしゃしていた」など、通る道理がありません。
 仮釈放の判断の妥当性を問う声があるようですが、彼は1年2ヶ月程度の短期刑であり、仮釈放も満期の2ヶ月前です。たとえ彼が満期まで拘束されていようが、その犯罪性向を変化させることはできなかったでしょう。
 また、刑の満了後であれば入所した更生保護施設を出て行こうがどうしようがその自由を制限することはできませんが、仮釈放中であればこれを取り消し再び収監することができます。といっても、届出が必要な旅行は7日以上であり*1、今回のように数日間居所を離れていたとしても、現状では直ちに引致されるわけではないようです。
 仮釈放後初期の者に対してもっと厳しく監視すべきなのかも知れません(例えば落合先生がブログで言及されている*2ように、仮釈放者の身体にGPS発信装置を取り付けて所在を常時把握するなど)。
 しかし例えば、今回のように仮釈放中の人物がショッピングセンターにいるからといってそこで殺人を働くと推測し身柄を拘束することまでは難しいでしょう。
 被疑者がそもそも自らの生を全うする気を持ち合わせていたのかどうか不明ですが、更生の意欲を持たぬ者に対し、いかなる方策が有効な再犯抑止手段たり得るのか。房内で、反省の色など全くない多くの累犯者と起居を共にしてきたことを思い起こしながら、暗澹たる気持ちになってしまいます。

*1:仮釈放及び保護観察に関する規則43条

*2:http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050207#1107736185