続「都立高校敷地内でビラ配布、2人逮捕」

増田尚弁護士のブログ“ろーやーずくらぶ*1”経由で知りました。

<都立高でのビラ撒き逮捕に勾留却下>
 4日午前8時45分ごろ、東京都町田市の都立野津田高校の校門外ロータリー・バス停付近で、「日の丸・君が代」に反対するビラを配ったとして、警視庁町田署は、建造物侵入の疑いで、60歳前後の男性2人を現行犯逮捕した。
 ビラ配布の場所は明らかに校門の外である。それでも校長は「被害届」を出した。「ビラ撒きの場所は校地として囲われた塀の外側ではあるが、学校の敷地の範囲内だ」と主張した如くである。それで、「校門の外の学校敷地に侵入」という奇妙な被疑事実が大まじめにこしらえられた。
(民主法律家協会ホームページ「澤藤統一郎の事務局長日記*2

 昨日のエントリーでこの事件について、
「どうして“敷地内での配布”にこだわるのでしょうか。」という感想を述べたのですが*3、ビラを配布していた場所はどうやら“敷地に隣接するバス停付近”であったようです。ビラ配布の行われた場所が“敷地外”であるならば、“建造物侵入”とはいえないんじゃないでしょうか。集合住宅内のドアポストへのビラ配布が建造物侵入に問われたケースが無罪となりましたが(現在検察が控訴中)、そのときは共有スペースとはいえ私有地への侵入がありました。
 今回、もしも警察が“公道上でのビラ配布”を建造物侵入で現行犯逮捕したのだとすれば、これ以上ないくらいわかりやすい「不当逮捕」ですね。

 幸い、その日の内に弁護士接見があり、5日には学校と町田署に抗議行動が組まれた。そして今日、東京地方裁判所八王子支部は、検察官の勾留請求を却下し、さらに検察官の準抗告も棄却された。人権擁護のシステムは、いまだ錆び付かずに健在だった。ひとまずは胸をなで下ろした。(前掲「事務局長日記」)

とありますが、これは証憑隠滅や逃亡のおそれが認められなかったからなのか、それとも犯罪自体が成立していないと判断されたからなのか判然としません。続報を期待したいと思います。

追記

朝日新聞に続報が出ました。

―「日の丸反対」ビラ配り、勾留認めず 逮捕の2人釈放―
http://www.asahi.com/national/update/0307/TKY200503060212.html
 東京都町田市の都立野津田高校の敷地で日の丸、君が代に反対するビラを配ったとして、男性2人が警視庁に建造物侵入容疑で逮捕された事件で、東京地裁八王子支部が2人の勾留(こうりゅう)請求を却下したことがわかった。検察側が申し立てた準抗告も棄却され、2人は6日に釈放された。2人は取り調べに黙秘していた。 
 町田署によると、2人は4日午前8時45分ごろ、ビラを配るため同校の敷地に侵入した疑いで現行犯逮捕された。 
この日は同校の卒業式で、2人は正門の外のバスのロータリー周辺で生徒や父母にビラを配っていた。ロータリーも同校の敷地内のため、教員が注意したが立ち去らず、通報で駆けつけた署員が退去を求めても従わなかったという。公安部は2人について左翼系の活動家だとみている。 
 弁護人は「ビラを配っていた場所は校門の外でバスの停留所もあり、一般人の立ち入りが制限されるような建造物ではない」と主張していた。 
 川津良幸町田署副署長は「敷地外に出るよう学校側が何度言っても2人は立ち退かず、警官の指示にも従わなかった。適正な捜査であり、釈放は残念だ」と話している。2人のうちの1人は「どこまでが敷地か確認し、すぐに敷地外に出て公道で配っていた。警官は警告もなしにいきなり車の中に引き込んで逮捕した。許せない」と話している。

 ゼンリン地図(WEB版)を見ると、舞台となったバス停は野津田高校正門と隣接する養護学校正門との間のロータリーの中にあるようです。ここを“学校の敷地内”と考えるのは難しいかも知れません(もちろん、敷地内か否かは地籍によって一義的に決まっているわけですが)。

追記2

落合弁護士のブログ*4より。
http://www.sankei.co.jp/news/050307/sha004.htm

関係者によると、地裁八王子支部は、バスロータリーは建造物には当たらないと判断したという。