法務省の人権擁護法案修正案について(人権擁護法案検討メモ―番外編その10)

 今回は、法務省が明らかにした(とされている)人権擁護法案 修正(予想)案について検討します。
 私は「白紙撤回の上改めて検討しなおすこと」が望ましいと考えておりますので、取り上げること自体を迷ったのですが、一応触れておく、ということで。
 法務省の修正案そのものを知りうる立場ではないため、松本純衆院議員のホームページより、『自民党法務部会における主な論点への対応案』*1」を参考にさせていただきました。

1.外国人に人権擁護委員に選任される資格を与えることは不適当。
法務省対応案)
○現時点では、その取り扱いにつき保留。

 私は、人権擁護委員日本国籍者に限定したほうがよいように考えます。
 従来、外国籍の国家公務員は国立大学教官や国立病院の医療従事者などに限られておりました。これらも現在は独立行政法人へと移行したわけで、独法化になじまないような「公権力の行使」「公の意思の形成」にかかわる国家機関内部で外国籍者が活動するというのは、やはり抵抗を感じます。
 日本国籍の取得要件の中に、「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。」(国籍法第五条第一項第六号)というものがありますが、これはまあ「憲法愛国主義者」*2であることの確認とみることが出来るのかな、と思います。人権という憲法的価値を守ることを任務とする人権擁護委員は、日本国憲法の下に統合されていると信じうる者によって担われるべきだろうと思います(少なくとも日本国憲法の下に統合されることを認めているかどうか判らない人物には担ってもらいたくないと思います)。*3

2.人権擁護委員の推薦に当たっての団体構成員枠をなくすべき。
法務省対応案)
○法案第22条第3項の「弁護士会その他人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員」との文言を削除する。

 本法案の可決成立後も、選考過程において各地区・一定の団体から候補者の推薦をお願いしているという現状は変わらないのでしょうが、条文中において候補者となりうる要件を「人格識見の優れた者“又は”弁護士会その他団体の構成員」と並列するのはやはりオカシイと考えますので、削除は妥当と考えます。それよりも、「地方議会への意見聴取」のトンネルぶりをなんとかする必要があるように思われますが。

3.「人権侵害」の定義があいまいであり、恣意的解釈が可能。
法務省対応案)
○法案第38条に、濫訴的な申出に係る事案等については、救済手続きを開始しない旨を追加するとともに、その具体例を規則で定める。
○法案第82条に、「他の者の人権を不当に侵害することがないように留意するとともに、本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用することがあってはならない。」旨を追加する。

 Bewaad氏も述べておられるように、もともと内規で定めており本法案においても規則で定める予定であったものを法律の文言中において明確にした、ということでしょう。

4.不当な人権侵害の申出の対象とされた者の保護が不十分。
法務省対応案)
○法案第38条に、人権侵害の申出があっても、その事実がないときは、申出の対象者が求める場合には、人権侵害が認められなかった旨の通知をする旨の規定を新たに設ける。
○勧告に対する不服の申出の制度を新たに設け、法案第60条以下に規定する。

 無茶な申立を行い“調査不開始”などの決定を導いてしまったとき、かえって相手方に“無実のお墨付き”を与えることになるので、この規定は申立を行う上での一定のハードルとして機能するように思われます。

5.人権委員会の判断に際しては、裁判手続きに準じた透明性を確保すべき。
法務省対応案)
○申し立てられた相手側の意見を十分に聴取するなどの手続的担保については、これを規則中に明記する。

 勧告対象者に対する意見聴取については、原案でも「人権委員会は、前項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告の対象となる者の意見を聴かなければならない。」(法案第六十条第二項)と規定されていたところですので、何ら前進しておりません。手続に対する批判とは、「裁判手続のような“対審構造”をとるべきではないか」というもので、例えば公取委のように審判官と審査官を分けるような方法は取れないのか*4、というものと推察するのですが、調査を行う者=勧告を行う者という“糾問”的構造は維持されたままのようです。
 そのかわり、勧告について以下のような修正を行うつもりのようです。

第六十条 人権委員会は、特別人権侵害が現に行われ、又は行われたと認める場合において、当該特別人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、当該行為をした者に対し、理由を付して、当該行為をやめるべきこと又は当該行為若しくはこれと同様の行為を将来行わないことその他被害の救済又は予防に必要な措置を執るべきことを勧告することができる。
2 人権委員会は、前項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告の対象となる者の意見を聴かなければならない。
3 人権委員会は、第1項の規定による勧告をしたときは、速やかにその旨を当該勧告に係る特別人権侵害の被害者に通知しなければならない。
4 第1項の規定による勧告を受けた者は、当該勧告に不服がある時は、当該勧告を受けた日から2週間以内に、人権委員会に対し、異議を述べることができる。
5 前項の規定による異議の申述があったときは、人権委員会は、当該異議の申述の日から1月以内に当該異議について検討をし、当該異議の全部又は一部に理由があると認めるときは、第1項の規定による勧告の全部又は一部を撤回しなければならない。
6 人権委員会は、第4項の規定による異議の申述をした者に対し、前項の規定による検討の結果を通知しなければならない。
7 第3項の規定は、第5項の規定により第1項の規定による勧告の全部又は一部を撤回した場合について準用する。

 第二項に定める「意見聴取」は「勧告をしようとするときは」なのですから、どのような勧告を行うかわからないままに行われるものではありません。従って第四項に定める「異議の申述」の内容は、第二項における「意見聴取」の際に勧告対象者が述べる内容と変わらないものになるでしょう。そうすると第五項の「当該異議の全部又は一部に理由があると認めるときは、第一項の規定による勧告の全部又は一部を撤回しなければならない」って、「撤回するんだったらそもそも勧告なんかするなよ。」ということになりはしないでしょうか。申立人の相手方から何にも事情を聴かないまま勧告案を作成するっていうなら別ですが。

第六十一条 人権委員会は、前条第1項の規定による勧告をした場合であって、次の各号のいずれかに該当する場合において、当該勧告を受けた者がこれに従わないときは、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。この場合において、当該勧告について異議の申述がされたものであるときは、その旨及び当該異議の要旨をも公表しなければならない。
 一 当該勧告について異議の申述がされなかった場合
 二 当該勧告について異議の申述がされた場合であって、前条第5項の規定により当該勧告の全部の撤回をするに至らなかった場合
2 人権委員会は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告に係る特別人権侵害の被害者及び当該公表の対象となる者の意見を聴かなければならない。

 つまりこれは、人権委員会の審理手続が対審構造をとっていないから、「見解の対立する部分については、皆さんがそれぞれ判断してくださいね」と“世論に判断の下駄を預ける”ということでしょうか。
 でもこれって、「容疑者は否認している」という報道とさして変わりないように感じられるのですが。「国税当局との見解があったが、指導に従って云々」という報道を見て、国税当局と納税者の見解を対等に評価した上、納税者の見解を自らの行動準則に採用できる人が一体どれほど存在するのでしょうか。
 「当該異議の要旨を公表」というけれど、川崎市人権オンブズパーソン条例を取り上げたときに申し上げたように、抽象化の度合いが高まれば高まるほど読み手の判断材料は少なくなってしまうわけですし、「要約ぶり」によっては逆に差別があったことを裏付けるかのような印象を与えてしまうかも知れません。
 そもそも、“内閣任命&両議院同意”なんてべらぼうに権威を高く設定されている人権委員会の見解と勧告対象者の見解を並べて「判断はあくまでも国民一人一人ですから」なんて、本気でおっしゃるつもりなのでしょうか。
 もちろん、最高裁判決に対してすらしばしば「不当判決」との批判が行われるのですから、国家機関(人権委員会)の判断が直ちに国民の大多数の支持を受けるというわけではないでしょう。しかしたとえ「不当判決」であっても、裁判所の判断は社会に反映され、秩序を形作っていくことは認めざるを得ないわけです。「勧告当事者の反論はともかく、国家機関(人権委員会)はこう判断するのだ」という勧告が社会に影響を及ぼしていくことは間違いない(そしてそのような効力を認めているからこそ「公表」制度を設けようとしている)のですから、「異議の要旨も同時に公表されるから問題なし」とはとてもじゃないが言えません。
 百歩譲って、確信をもって差別的言動を行った者であるならば、そのような「勧告の公表」を受け入れられるかも知れません。しかし事実そのものに争いがある場合もあるでしょう。そのような場合には、申立人が別途民事訴訟を起こすまで事実を確定させることはできず、“両論併記”という宙ぶらりんの状態を甘受せざるを得なくなるのではないでしょうか(勧告対象者が債務不存在確認の訴えを提起することによって事実関係の有無等を争うことは可能でしょうが。)。
 また、このような“両論併記的公表”となった場合、「勧告を信じるか信じないかは国民次第だから」ということになり、国家賠償請求訴訟において勧告を公表されたことによる損害発生が認められにくくなるのではないか、という危惧さえ感じられます。

6.人権委員会に裁判所の令状なしに捜索・差押えを行う権限を与えることは、憲法に反する。
法務省対応案)
憲法は、刑事責任の追及を目的とする逮捕、抑留、拘禁及び捜索等に裁判官の発する令状を必要とする旨規定している(令状主義)。
○本法案で令状主義が問題となりうるのは、立入り及び物件の留置であるが、人権委員会は正当な理由もなく立入り等を拒んだ者に、裁判所を通じて過料を課すことができるのみであって、相手方が立入り等を拒否した場合には強制することはできないので、令状主義に反するものではない。
○なお、行政機関が調査のために過料や罰金で担保された立入り等を行うことができるとする規定は、独禁法第46条、公害紛争処理法第42条の18等多数存在している。

 拒否しようとしても物理力を以って排除され、抵抗が許されない捜索差押と違い、実施を拒むことができる立入検査等に裁判所の発する令状は必要ありません。
 しかし、適正手続が確保されているかどうか、立入検査等を行うことが出来る範囲は適切か、という問題についてはもっとよく検討すべきです。

 たしかに、法務省が説明するように立入等を行うことが出来る規定は多数存在します。(「立ち入り」の語を条文中に含む法令は、法令データ提供システムによれば512件存在します。)


特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律
第十二条
 国家公安委員会は、第八条の規定の施行に必要な限度において、製造業者等に対し、指定建物錠に係る業務の状況に関し報告させ、又は警察庁の職員に、製造業者等の事務所、工場又は倉庫に立ち入り、指定建物錠、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
第三十三条
 公安委員会は、この法律の施行に必要があると認めるときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、この法律の施行に必要な限度において、指定暴力団員その他の関係者に対し報告若しくは資料の提出を求め、又は警察職員に事務所に立ち入り、物件を検査させ若しくは指定暴力団員その他の関係者に質問させることができる。

医療法
第二十五条  都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、必要があると認めるときは、病院、診療所若しくは助産所の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、病院、診療所若しくは助産所に立ち入り、その有する人員若しくは清潔保持の状況、構造設備若しくは診療録、助産録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

 これらを見ていると、立ち入りが認められているのは、対象となる活動が許可なり届出なり指定なりを必要としており、規制に服することを対象者が予め承諾しているものがほとんどです。
 

麻薬及び向精神薬取締法
第五十条の三十八
 厚生労働大臣又は都道府県知事は、麻薬又は向精神薬の取締り上必要があると認めるときは、麻薬取扱者、向精神薬取扱者その他の関係者から必要な報告を徴し、又は麻薬取締官若しくは麻薬取締員その他の職員に、麻薬業務所、向精神薬営業所、病院等、向精神薬試験研究施設その他麻薬若しくは向精神薬に関係ある場所に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは試験のため必要な最小限度の分量に限り、麻薬、家庭麻薬、向精神薬若しくはこれらの疑いのある物を収去させることができる。
第六十四条  ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者は、一年以上の有期懲役に処する。
2  営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
3  前二項の未遂罪は、罰する。

のように、同じ麻薬及び向精神薬取締法でも令状を必要としない行政手続で立ち入りができるのは許可等が存在する事業所などで、それ以外の場所については令状を必要とする刑事手続によることになります。
 もともと許可等を必要としない活動領域において行政処分としての立ち入りを認めているのは、

児童虐待の防止等に関する法律
第九条
 都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させなければならない。

児童福祉法
第二十九条
 都道府県知事は、前条の規定による措置をとるため、必要があると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する吏員をして、児童の住所若しくは居所又は児童の従業する場所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させなければならない。

鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
第三十一条
 環境大臣又は都道府県知事は、第二十八条第一項又は第二十九条第一項若しくは第七項第四号の規定による指定をするための実地調査に必要な限度において、その職員に、他人の土地に立ち入らせることができる。

らい予防法の廃止に関する法律第六条に規定する援護に関する政令
第二条
10 都道府県知事は、援護の決定又は実施のために必要があるときは、当該職員をして、要援護者の居住の場所に立ち入り、その資産状況、健康状態その他の事項を調査させることができる。

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律
第十九条
 次の各号に掲げる大臣は、この法律の施行に必要な限度において、それぞれ当該各号に規定する者に対し、希少野生動植物種の個体等の取扱いの状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、希少野生動植物種の個体の捕獲等若しくは個体等の譲渡し等、輸入若しくは陳列に係る施設に立ち入り、希少野生動植物種の個体等、飼養栽培施設、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

賃金の支払の確保等に関する法律
十三条
 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、又は帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
 
住民基本台帳
第三十四条の二
 都道府県知事は、第三十条の四十三第四項又は第五項の規定による措置に関し必要があると認めるときは、その必要と認められる範囲内において、同条第二項又は第三項の規定に違反していると認めるに足りる相当の理由がある者に対し、必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、これらの規定に違反していると認めるに足りる相当の理由がある者の事務所又は事業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

土地収用法
第十一条
 第三条各号の一に掲げる事業の準備のために他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査をする必要がある場合においては、起業者は、事業の種類並びに立ち入ろうとする土地の区域及び期間を記載した申請書を当該区域を管轄する都道府県知事に提出して立入の許可を受けなければならない。但し、起業者が国又は地方公共団体であるときは、事業の種類並びに立ち入ろうとする土地の区域及び期間を都道府県知事にあらかじめ通知することをもつて足り、許可を受けることを要しない。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
第三十五条
 都道府県知事は、第二十七条から第三十三条までに規定する措置を実施するため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症若しくは四類感染症の患者がいる場所若しくはいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所若しくはあった場所、当該感染症を人に感染させるおそれがある動物がいる場所若しくはいた場所、当該感染症により死亡した動物の死体がある場所若しくはあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所若しくは汚染された疑いがある場所に立ち入り、一類感染症、二類感染症、三類感染症若しくは四類感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者若しくは当該感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

 など、ぐっと数が減ります。(ざっと見ただけですので、まだまだあるかも知れませんが、非常に限られているということは間違いありません。)
 これらの中で人権擁護法案と類似するものは児童福祉法児童虐待の防止等に関する法律ですが、これらは「疑いのある場所」にまで立ち入れるとしてはおりません。こうしてみると、人権擁護法案の定める立入検査等の範囲がいかに広いものであるかがわかると思います。児童虐待等については既に立ち入り等を行う根拠法令や行政機関が存在するのですからまあよしとしても(それでも改めて人権擁護法案で法定する必要があるのかという疑問は残ります)、その他の特別人権侵害に対する立ち入り等について、単に「他に立法例があるからよい」と片付けてしまうのではなく、今一度検討し直す必要があると思います。

7.人権擁護委員についての政治的中立性の規定がない。
(法務省対応案)
○現行の人権擁護委員には国家公務員法の適用が除外されているが、本法案の人権擁護委員については、非常勤の国家公務員であり、国家公務員法が原則として適用されるところ、同法第96条に「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、」との規定があり、この規定により、人権擁護委員は、職務を行うに当たっては中立・公平でなければならず、当然ながら政治的にも中立・公平でなければならない。

 論点1、論点2で既に述べてきたのですが、形骸化している選任過程をどうするかということに尽きるように思われます。拙ブログ「人権擁護法案検討メモ―その8」でも述べましたが、人権擁護にかかわる者がどのようにして「局外中立者性」を維持できるか、ということが制度に対する信頼を決定付けるように思われます。(この論点については、bewaad氏から丁寧なお答えをいただいておりますので*5、宿題とさせていただきたいと思います。
 以上、法務省の修正案(とされているもの)を見てまいりましたが、結局のところ「白紙撤回せよ」という私の見解を改めさせるものではありませんでした。

*1:松本純リポート2005」2005/04/08http://www.jun.or.jp/report/2005/050408jinken.htm

*2:祖国愛とか愛国心とかいったものではなく、憲法という規範価値のもとに統合されるという考え方です。

*3:言うまでもありませんが、「改正手続きに則った改正を主張すること」は許されます。公務員とは主権者である国民の信託によって憲法の運用を任務としている者ですから、職務の上で憲法を擁護しなければいけないのは当然です。

*4:公取の行う審決に対する中立性にも疑問の声があることを付言しておきます

*5:Bewaad Institute @Kasumigaseki 「『法と正義』についてのとりあえずのまとめ」2005年4月14日http://bewaad.com/20050414.html